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■2024.08.28
病院の消防設備について5
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みなさんこんにちは!
全5回にわたり、このブログでみなさんにお話させていただいているのは、病院の消防設備についてのお話です。
病院の消防設備のアレコレもろもろのお話や、初歩的なことや知っておいて損のないこと、
また、万が一病院や診療所において火災が発生してしまった場合に、どのように対処すべきかや、
そもそも、火災が発生しないための対策や、火災にそなえてあらかじめ準備しておくべきことなどなど、
病院の消防に関わるさまざまな事柄をできるだけ、噛み砕いてわかりやすくお話させていただきたいと思っております。
今回は、平成27年4月1日に改正された病院・診療所等に係る消防関係法令のお話をさせていただきたいと思います。
第1回目のブログでも軽く触れましたが、平成27年4月1日に病院・診療所等に係る消防関係法令が改正されました。
主な改正事項はご覧の通りです。
(1) スプリンクラー設備の設置基準の見直し
(2) 特定施設水道連結型スプリンクラー設備の設置基準の見直し
(3) 屋内消火栓設備(動力消防ポンプ設備)の設置基準の見直し
(4) 消火器又は簡易消火用具の設置基準の見直し
(5) 消防機関へ通報する火災報知設備等の基準の見直し
(6) 防火対象物用途区分の見直し
(7) 施行期日及び既存の防火対象物における経過措置
なぜ、改正にいたったかというともちろん原因となることがあったわけで、それは、
平成24年から25年にかけて全国的に、夜間就寝施設において多数の死傷者を伴う火災の発生が相次いだことが挙げられます。
平成24年5月に起きた広島県福山市のホテル火災では、7名が死亡してしまいました。
この事件では、建築基準法および消防法に違反した建築物を使用し長年営業していたうえ、
行政側も見過ごしていたことが被害拡大を招いたとして当時問題になったのでご記憶の方も多いと思います。
この火災では現行法では設置が義務付けられている排煙設備がなく、煙が室内に充満し視界が悪かったことに加え、
「内装」に使われていたベニヤ板が排煙を妨げたばかりか消火活動と救助活動までも妨げる悪い結果に働いてしまいました。
なお、スプリンクラーは設置されていなかったが、同ホテルの規模では設置義務はありませんでした。
ホテルを火と煙が広がりやすい構造のまま放置して火災報知器の設置や従業員への避難指導などを怠った業務上過失致死傷罪で、ホテル運営会社元社長が在宅起訴されました。
2017年1月25日、広島地裁はホテル運営会社元社長に禁錮3年執行猶予5年(求刑:禁錮3年)の有罪判決を言い渡しました。
また、平成25年2月に起きた長崎市の認知症高齢者グループホーム火災では、高齢者5名が死亡しまいました。
出火当時、職員は1人だけだったことに加え、スプリンクラーを設置していなかったため、初期消火が遅れ、被害が拡大してしまいました。
2018年2月2日に長崎地裁は業務上過失致死傷の罪に問われた施設の運営会社元代表に禁錮2年執行猶予4年(求刑禁錮2年)を言い渡しました。
そして、平成25年10月に起きた福岡市の診療所火災では死傷者17名をだす大惨事になってしまいました。
福岡県警察本部博多警察署の発表によると、出火当時、院内には18人がいたが、この火災で、
いずれも70〜80歳代の入院患者の8人と、同医院3階に住んでいた前院長夫妻2人の計10人が死亡してしまいました。
本火災を重く見た総務省消防庁は、医療機関に火災対策のさらなる徹底を求め、全国の都道府県や政令指定都市などに通知しました。
また埼玉県では本火災の後、県内全自治体の病院・医療施設について緊急点検を実施して14施設で建築基準法違反が発覚した為、
埼玉県はこれらの施設に是正指導を行いました。
国土交通省では火災を起こした医療施設が防火扉の点検を行っていなかったことを重視し、
これまで建築施設の防火扉の定期点検が各自治体の裁量任せだった点を改め、
建築基準法を改正して防火扉の定期点検義務化を法令で規定する方針を打ち出すこととなりました。
これらの悲惨な事件が立て続けに起きてしまいその結果、病院・診療所等に係る消防関係法令が改正されるにいたったわけです。
改正によりスプリンクラー設備設置基準や自動火災報知設備設置基準がより厳しくなりました。
これらの事件の概要を見ても被害に遭われた方の多くは避難が困難であろうご高齢者です。
病院にはご高齢者が多くいらっしゃいますので、やはり徹底した防災・消防への取り組み、火災への準備をしていただきたいです。
今回で、病院の消防設備についてのお話は最後になります。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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